創生・新しい日本

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国内航空"内憂外患"極まれり

大韓航空(韓国航空最大手)が、低運賃航空の設立を正式に発表した。
社名は「エア・コリア」。大韓航空が現在保有するエアバスA300-600R型機(中型機/JALも使用)とB737-800型機(小型機/ANA、スカイマークエアラインズなども使用)を借り受けて運航を開始するようだ。

注目すべきは、これが日本発着の国際線にも就航する見通しであること。それも、今まで関西国際空港でしか実現していなかった低運賃航空の国際線参入が地方空港でも実現する可能性が高い。
外国航空会社の地方空港への乗り入れは、つい先般事実上自由化されただけに、今後一気に参入が進む可能性がある。

気づけば周りは"黒船"だらけだ。
今年3月に関西国際空港にジェットスター(豪カンタス航空傘下)が就航し、東南アジア低運賃航空最大手のエア・アジアもグループ会社の日本発着国際線参入の意向を表明した。それ以外にも、判っているだけで韓国1社、香港1社、マカオ1社、シンガポール2社の計5社が日本発着国際線への参入を目指している。
そうしたなかで、先陣を切って地方空港発着路線への参入まで明らかにした(具体的な路線は不明だが)エア・コリアの動きは、予期されたものとはいえ衝撃的だ。

低運賃航空の国際線参入は、単に日本の航空各社に影響を与えると言うだけではない。
過熱する近隣諸国との"ハブ空港"地位競争により大きなネガティブ・インパクトを与える可能性もあるのだ。
現在、国内では20以上の地方空港に韓国の大手2社(大韓、アシアナ)が定期便で就航している。これにより、地方から海外に出国する日本人が仁川経由で目的地に向かうケースが非常に多くなっている。韓国の低運賃航空の就航が、この動きに一層拍車をかけることは間違いない。結果、成田・関西・中部の三大国際空港は国内の利用者さえ満足に集められない(仁川に奪われる)だけでなく、地域ハブから一気に弱小空港へと転落する可能性もある。
海外からの影響で、空港において空洞化現象が起こる可能性がより現実的になったと言えよう。

更に悲劇的なのは、こうした動きに対して国内航空会社、空港ともに対抗する術を持っていないことだ。
現在、大手2社のうち全日本空輸(ANA)のみが国際線も含めた低運賃航空の創設を準備しているが、まだ具体的な計画は一切明らかになっていない。加えて、国内空港はそもそもその施設を利用するためのコスト(着陸料など)が非常に高く、低運賃航空を育成するだけの基盤がない(詳しい問題点はこの前の記事でも紹介している)。

昨日、国内新規航空のスターフライヤー(SFJ)にANAが約1億円を出資することが明らかになったが、その目的のひとつがANAグループの低運賃航空設立のためのノウハウを蓄積することだという見方がある。
が、SFJの運賃水準はそもそも"低運賃"と称するほど明確な差別化がなされているわけではなく、サービスもハード・ソフト両面で付加価値を高めてあるため、相対的に低コストにはなっていない。加えて、そもそもSFJは就航からまだ2年に満たないから、「ノウハウの蓄積」など望むべくもない。
とすれば、ANAがSFJに出資を決めたのは経営に対する一定の発言力を得て国内線での競争を和らげる目的からだったと解釈するのが自然だ。

ところが、冒頭から述べてきたような状況にあってはANAは国内線よりも国際線において特に競争への対応が必要になる。ANAは国内で1億円の大枚をはたいて投資しただけの成果を挙げられるのか極めて疑問であるのみならず、明らかに競争対応の順序を間違えているのだ。
更に言えば、1億円出資しても出資比率は1.05%(発行済総株式数比)に留まる。出資したところでSFJの経営への影響力は僅かに限られるだけでなく、現在両社が羽田=関西国際空港線で進めているコードシェアでもSFJにより有利な対応をしなければならない立場に追い込まれた。SFJがANAとの競合で経営不振に陥った場合、ANAは利益相反により株主代表訴訟のリスクさえ抱えかねないからだ。

もう一方の大手である日本航空は、最近ようやく収益が持ち直しつつあるが新規投資を行って海外の"黒船"勢と伍すだけの経営体力はまだない。前出のジェットスターとはコードシェアで提携(関西=ブリスベン=シドニー線)しているが、今後競争が激化するアジア近距離線ではどう対応するのか注目される。

いずれにせよ、日本の航空業界はいよいよ内憂外患極まれりという状況になっている。
ここでイニシアチブをとり、国内航空の競争力強化へ動くべきなのは行政(国土交通省)だが、昨今の諸問題への対応を見るにつけ、期待すべくもなさそうだ。残された時間は少ないが、空港、航空会社一体となった競争力の向上に向けて音頭をとるのは一体誰であろうか。 (Y・K)


(11/28追記)噂をすれば何とやら、である。今度は、中部国際空港が大韓航空と提携して中部圏の貨物を仁川経由で全世界に輸送する体制を整えると発表した。既に大韓航空は貨物取扱高では世界の3位以内に入るが、これで更に仁川の極東ハブ化が進む。中部国際空港も、その現状を追認した(せざるを得なかった)ということだ。これでも企業経済において規制強化が必要とか、地方にカネを回せとか言う人間は規制と一緒に心中すればどうか。そういう無責任な言説が日本をここまでの窮状に陥れたことを認識してほしい。


地に墜ちた日本航空―果たして自主再建できるのか地に墜ちた日本航空―果たして自主再建できるのか
(2007/05/31)
杉浦 一機

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外資嫌いの白昼夢から覚醒せよ

日本空港ビルデング(羽田空港ターミナルビルの運営会社)の株式を豪・マッコーリー銀行が買い進めていることが議論を呼んでいる。

マッコーリー銀行はシドニー空港の株式の過半数を保有し、カンタス航空など世界の主要航空各社にも買収提案を行うなど、航空関連の企業への強い投資意欲を見せている。同様の投資会社としてはテキサス・パシフィック・グループ(TPG)なども存在するが、日本の代表的な航空関連企業に投資を行ったのはマッコーリーが事実上初めてだ。

元々日本では"ハゲタカ"などという言葉に代表されるように外資アレルギーが非常に強い。加えて、重要な社会インフラである空港に関わる投資であるため、今回の案件については「安全保障上の懸念がある」などとして買収を認めない空気が強い。

が、海外ではヒースロー空港などイギリス国内の主要空港を運営するBAAが、スペインの建設会社に買収されるなど外資受け入れの動きがままある。
言うまでもなくイギリスは日本よりもテロに対する懸念が強い(実際頻発している)が、そうした国でも空港に外資を受け入れて経営の改善に取り組む動きがあるだけに、この際日本も前向きに考えてみるべきではないだろうか。「安全保障上の懸念」というのは、経営改善の必要性以上に説得力のある論理だとは言えない。

マッコーリーは投資銀行であるから、仮に買収に動くとすれば空港ビルを非上場にしたうえで経営を改善し、再び上場させて株式を再売却するという流れになるだろう。株を永久に持ち、東京の喉元に短剣を突きつけ続けるなどということはあり得ない。むしろ、買収により経営が改善され、国際競争力のある空港ビルに生まれ変わるならば諸手を挙げて歓迎すべきではないだろうか。

今後再国際化を見込む羽田空港にしろ、あるいは上場を見込む成田空港にしろ、喫緊の課題は着陸料など乗り入れ航空会社の負担を軽減し、一方で収益の向上に取り組むことである。
そのためには、①非航空収入の拡大と②旅客・貨物取扱量の拡大、の2点が重要となる(それ以前に羽田空港は空港とターミナルビルの一体経営への移行が望まれる)。
そのうち、ターミナルビルの経営改善は特に①の点について効果を挙げる。ソフト/ハード両面でより効果的な投資を行い、結果として空港利用者に相応の付加価値のあるサービスを提供出来ればそれは非航空収入の向上に直結する。利用者の満足度が向上されれば、②のうち旅客取扱量の向上にも波及するだろう。

こと成田空港については、2009年度にも運営会社(NAA)の上場を見込む。そのうち政府保有株の上場益については、成田空港のアクセス/イグレス改善のための投資のみならず、まだ調子の上がらない関西国際空港や経営が失速気味の中部国際空港へ資金注入するために使われると見られる。上場後NAAの株価を決めるのはマーケットによる厳格な評価であるから、政府がより上場益をあげ、それぞれの目的に十分な投資を行うためにはNAA自身の将来への取り組みが欠かせない(政府の売却のタイミングにもよるが)。

上場は既にロードマップに入っており残された時間は少ないが、国際航空運送協会(IATA)の要請に従い、一定水準まで着陸料等を下げる時期はひとつのコミットメントとして示しておかねばならない。2010年を目途に暫定滑走路の2500メートルへの延長も行われるが、これがひとつの目安になる可能性もある。
それ以外にも、トランジット旅客のための施設整備とサービスの提供や店舗エリアの拡大など、マーケットが期待をもてるだけの明確なビジョンを提示する必要がある。

現在はまだ空港容量の限界が需要の伸びを抑えている状態だが、我が国の経済大国としての地位が徐々に危うくなっている現状下でヒト、モノ、カネの流れのいずれもを満足に受け入れられないとなれば経済は破綻する。それだけ切羽詰った状況にあって、行政も事業者自身も自助努力を発揮できないのであれば、外資を受け入れて根性を叩きなおすしかないだろう。愛国心を守って国が潰れるのでは話にならない。

都市から財源を取り上げたり、不要な道路を造ったりしている余裕はこの国にはないことも、申し添えておきたい。道路を造って国が潰れるというのもまた、話にならないのだ。 (Y・K)


空港民営化―日本再生と生まれるビジネスチャンス空港民営化―日本再生と生まれるビジネスチャンス
(2002/03)
森 浩、渡辺 信夫 他

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航空会社の過当競争への対応策

東京=大阪線で過当競争の具合が増してきたように感じる。

従来からの新幹線との競合に加え、スターフライヤー(SFJ)の参入による便数増が東京=大阪線における航空各社の収益を圧迫している。
SFJが参入便数の少なさを逆手に取り、空白の時間帯に輸送力を投入したことを受け、大手2社はその時間帯により輸送力の大きな機材を使用した便をぶつけるという「SFJシフト」をとった。
また、新幹線との競合を踏まえ、運賃をより引き下げることで一部では新幹線の運賃を下回る航空運賃が実現している。

過当競争の激化は「ドル箱路線」といわれる東京=大阪線の収益貢献をより薄くする。
高速鉄道は特に短距離の旅客流動を航空から奪う傾向が強いだけに、いずれ東京=大阪間の旅客流動から航空が完全に締め出される可能性もあり、対応が必要だ。

ここで航空がとるべき具体的な手法としては、交通経済学の観点からは①単位あたり輸送力の削減と便数増による利便性の向上、②都心→空港のアクセス、空港→都心のイグレスの質的向上、の2点が特に重要だ。

そして、マーケティング的視点からの追加的措置として③競合に対するサービス(ハード/ソフト)の付加価値向上、④プライシングの全面的見直し(上方・下方いずれも)、が必要となる。

過当競争においては特にプライシングが逆イールドの下降曲線を描く。
これでは短期的な競争には対応できても長期的には確実に収益を圧迫し、非生産的な"全面戦争"を煽ることになる。

こうした状況を回避するのに有効な知恵としてマーケティングがあるのであれば、それをより有効に活用した価格・サービス戦略の策定が欠かせない。
そうした点において、特に前掲の③にフォーカスした戦略をとったSFJの戦略はある程度評価できる。

が、同社について言えば絶対的に重要な①、②の視点が根本的に欠落しているがために(資金的な問題など已む無き事情があるにせよ)、今後同路線で厳しい戦いを強いられることは自明である。
ここに、寡占市場における先行者の絶対的な優位を見て取ることが出来るわけだが、規制に守られた限られた市場の中で過当競争が発生した際最終的に不利益を被るのは利用者だ。

結局は航空行政の自由化・規制緩和ラインに基づくより積極的な対応が求められることは言うまでもない。 (Y・K)


日本の空を問う―なぜ世界から取り残されるのか日本の空を問う―なぜ世界から取り残されるのか
(2007/08)
伊藤 元重、下井 直毅 他

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