創生・新しい日本

政治、経済、文化、社会・・・これからの日本を担う世代の提言Blog

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

タクシー業界の自縄自縛

最近、全国のタクシーで値上げの動きが相次いでいる。
全国的傾向であるのであえて特定の地域について詳しく述べることはしないが、この状況を受けて先日国土交通省が打ち出した措置には驚いた。

同省は、全国で特に過当競争ぶりの目立つ7都市について、台数増に規制を設けるなどの制限措置を打ち出したのだ。この一環で、仙台では来年の8月まで新規参入が全面的に禁止されるという(試験的措置のため延長の可能性も)。

値上げの直接的理由は、原油高に加え「規制緩和による競争の激化でコストが吸収しきれなくなった」(業界団体曰く)ことだ。
実際、大都市では規制緩和に伴い「500円ワンコインタクシー」などの魅力的なサービスを打ち出す新規参入者が目立つ。これ自体は利用者利益に適うものであり歓迎すべきなのだが、上記のような環境下で運転手の労働環境が悪化し(長時間労働の常態化と賃金の低下など)、一部都市ではタクシーによる交通事故率が明らかに高くなったなどの問題もある。

こうした状況について監督官庁である国交省が何らかの手を打たなければならないのは言うまでもない。
が、それ以前に事業者(業界団体)自体の自助努力、負担の対利用者転嫁回避の努力が不足していることを指摘しなければならないのも事実だ。

タクシー業界の規制緩和を含む一連の規制改革は、その殆ど全てが利用者利益を志向したものである。
タクシー業界においても運賃の低下とサービスの多様化で利用者の選択の余地が広がり、利用者利益は明らかに向上したと言える。
更には、新規参入の実現により業界全体で雇用が拡大し、失業者の減少にも一役買っている。
これらは、事業者間の自由競争によって発生するものであり、規制なき業界ではごく常識的に機能している正常なメカニズムだ。

その点、タクシー業界がこれまで雁字搦めの規制に守られ、その中で事業者が事実上無競争でぬくぬくと飯を食ってきたこと、更にはそれにより不特定多数の利用者に算出不可能なほどの潜在的不利益を与えていたことがおかしいのである。
更に言えば、タクシー業界の規制緩和は何も急に決まって急に実行されたわけではない。
ついては、今後競争に晒されることが明らかになった時点で、各事業者が競争に打ち勝つだけのサービス・運賃戦略を考えるべきだったのだ。
にも関わらず、業界団体は殆どが正に護送船団の如く一律横並びの運賃を維持し、後発の新規参入者によって食い荒らされる結果となった。これは怠慢による必然と言える。

既存のタクシー事業者に飢えて死ねというのは全く良くないが、まずは業界団体自身が自己反省するのが第一だろう。現状では自らの苦境の原因を他に求める姿勢が目立ち、とても利用者の理解を得られる状況にはない。
規制改革の逆を行く今回の国交省の措置も、一時的なものであるとはいえ冷ややかに見るべきだ。

今後の対策としては、①行政主導で事業者間再編を促し、個々の事業者の経営体力を増すこと ②需要に対して過剰な供給を削減するため、タクシー業界から他業界への人的移動を促すこと(事業者の異業種参入を補助等) ③事業者自身の新規ニーズ開拓努力(介護など)と、それを促進するためのより一層の規制緩和、の3点が主に挙げられよう。

タクシーは"流し"で乗ることが多いから競争原理が働かない、というのは嘘である。地方でも介護やその他のニーズを捕まえ、"流し"に頼らない収益源を得ている事業者はある。そのニーズを見つけ、開発するのは事業者自身の仕事だ。
他業種では当たり前にやっていることである。

従来のような過剰な規制が不健全な業界体質(経営努力の消滅、利用者からの搾取)を生むことは明らかだ。逆戻りしてはならない。 (Y・K)


タクシードライバーほど面白い商売はないタクシードライバーほど面白い商売はない
(2003/08)
中嶋 浩

商品詳細を見る
スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

はじめまして。

タクシー業は失業対策が為の事業ではありませんが、「新規参入の実現により業界全体で雇用が拡大し、失業者の減少にも一役買っている」のも事実でしょうし、これが供給過剰を下支えし過ぎた誘因となった面もあると思います。
ですので、従来のように行政が直接需給に介入するのは合理的ではありませんが、今回の措置(増車の制限)は緊急避難的措置としてもセコンドベストに思います。(でも、ベストは・・・?)
対策を3点挙げられていますが、加えて、例えば、何年か前のガソリンスタンド業界の過当競争が、今では収束したように見えますが、(業界それぞれの事情はあるにせよ)このような何らかのモデルを探るのも一案かもしれません。

札幌運転所隣人 | URL | 2007年11月25日(Sun)02:49 [EDIT]


コメントありがとうございます

はじめまして。
コメントを戴き、ありがとうございます。

緊急避難的措置として「セコンドベスト」だというのは仰るとおりだと思います。ベストなのは、私としては本文中の①で挙げた事業者自体の削減だと考えています。増車制限は事態の根本的な解決にはつながりませんし、あくまでも「緊急避難措置」に留めるべきでしょう。

事後対応はともかく行政(国交省)の事前の対応の未熟さがこうした措置に至る状況を招いたことを国交省には反省して戴きたいですし、今回の惨状を規制緩和のせいにしたがる論調も受け入れられません。
その点の説明が不足していることも、国交省への不信感を感じさせます。

特に行政の対応についての失敗を明らかにし、今後他業種で進む規制改革でも参考となるようモデルケースとするべきだと私も考えます。

newjapan(Y・K) | URL | 2007年11月25日(Sun)05:08 [EDIT]


承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです

| | 2009年09月11日(Fri)18:21 [EDIT]


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。